動脈硬化は目に見えませんし、心筋梗塞や脳梗塞などを起こすまで自覚症状が全くありません。
これらの疾患は起こした場合、命を落とすか、その後の生活に支障を来す後遺症を残す可能性が非常に高い病気です。
原因(危険因子)としては、遺伝、加齢、ストレス、肥満、喫煙、以外に病気としては、高血圧症、脂質異常症(高LDLコレステロール血症、高中性脂肪血症など)、糖尿病、メタボリックシンドロームなどが現時点で示されております。
動脈硬化の進行は、この様な原因が様々に作用して起こりますが、その進行速度には個人差があります。
今までは、危険因子がどれだけ多いかによって、動脈硬化の進行スピードを推測しておりました。
しかし、ストレスや遺伝的体質などは予測が難しい因子でもあり、さらに、身体の仕組みは未だにすべてが解明されている訳ではない為、推測と実際がかなりかけ離れた事例も多々あることが分かるようになってきております。
そのかけ離れた例を見つけだした検査が、頚動脈超音波検査なのです。
頚動脈は、脳や心臓で梗塞を起こす血管と構造的にかなり近いため、この部分を観察することで、心筋梗塞、脳梗塞の発生を未然に防げる可能性が示されております。
首に超音波のセンサーをあてて、頚動脈の画像を確認します。
正常な血管 → 縦切りの血管の写真。
壁がスムーズで平らな状態。超音波の性能はかなり高く、頚動脈の壁の層状の構造を顕微鏡で見るように観察できます。
僅か0.1mm単位での血管の壁の厚みの変化を捉えることが出来ます。
左写真は上方、右写真は下方の壁に動脈硬化による突出あり。
血管の通路が狭くなっている。
輪切りの血管像。右下に突出があり狭くなっている。黒いところが血管の中。
右は分かりやすいように点線で区切り、+と×の間の黒いところが血液が流れる空間、明らかに狭くなっている。
当院では、この様な検査と、CAVIという血管の弾力を調べる検査(心電図と似た検査)を利用して、個人差のある動脈硬化の状態に応じて、原因となる疾患に対する治療を適切に行っております。
尚、検査は予約制になっております。また、解析する時間が必要なため、検査日当日すぐに結果の説明は出来ません。また、状態によって保険適応外になる場合もあります。